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時空を超えた猫  第一章 別れ [物語(ネタバレなし)]

※初めに、注意事項をお読みください。
※この物語は、すべて作者の妄想でできております。


※この物語は、公式の物語と一切関係ありません。

※キャラの性格が、公式のイケメン戦国やあなたの妄想と違う場合があります。そういうのは受け付けないわ!という方は、このまま、回れ右をしてお帰りいただき、このブログのことを一切お忘れいただきますよう、お願いします。

※この回は、カプコンより発売中のモンスターハンターX(クロス)をベースにしています。ご注意ください。

以上のことがお守りいただける方のみ、この先にお進みください…。 
 
 ざっざっざっざっざっ…………

 薄暗い森の中を、必死に駆けて行く二つの影。風になびくシルバーグレーの髪、憂いを含んだアメジストの瞳は、並走する小さな影を時折見ながら、二人の背後に迫る大きなモンスターをちらりと見る。本来なら、このエリアにいるはずのないもの…。

 …………斬竜 ディノバルド

 数週間前、村を襲い人を食ったためか、ハンターを食い殺すようになったモンスターだ。ギルドにも、資料が少ないために対策が遅れ、犠牲者が増え続けていた。
 必死に走っている小さな影が、悲鳴に近い声で言った。

「ミヤビ! にゃんであいつがいるニャ? 今日は、キノコ狩りで済むはずだったにょに…!」
「ケイ…! 俺にもわかんねーよ! 何でここに現れたんだ…?!」
「…!!」

 不意に視界が途切れ、目の前に険しい崖が行く手を阻む。敵の足音が近づいてくる。ミヤビは、大きく息を整えると、左手でケイを掴み、崖の方に突き出した。

「…! ミヤビ! にゃにするニャ!?」
「…ケイ…。生きろ。俺の分まで…」

 ふわり、と微笑んだ彼の姿が、出てきたモンスターの影に消える。自分の体は宙を舞い、崖を落ちて行った………。

                    ◇◇◇

「………ミヤビーーーーー!!」

 上げた悲鳴に驚いて、ケイは目を覚ました。いつもの部屋、いつものベッド。一つだけ違うことは、いつも寄り添って眠っていたミヤビがいないことだけ…。
 彼はあの日、左腕を残してこの世を去った。体が残っていたことで、かろうじて墓が建てられ、そこにはいつも、花が絶えることなく置かれている。

(夢…か…。もう、二ヶ月になるのに…。でも、もう二度と、この夢は見ない…。今日こそ、あいつを倒して、ミヤビのとこに行くんだ…)

 小さなため息を吐いた後、首に下げている小さな小瓶に触れた。自分で調合した、毒薬。それから、ゆっくりと部屋を見回し、大切なものを持っている秘密のポーチにしまう。
 それから、ベルダーネコシリーズという装備を纏い、必要な道具をそろえると、家を後にした…。

                ◇◇◇

 ギルドに着くと、今回の討伐メンバーが集まっていた。兄弟や子を殺されたもの、恋人を殺されたもの、それから…。

「……アンバーさん…」
「ケイ…。二ヶ月ぶり、だね。絶対、ミヤビの敵とって、戻ってこようね。…それでね…」
「なんですかニャ?」
「このクエストが終わったら、あたしと一緒に次の村に行こう。ミヤビ以上になれないかもしれないけど、彼の思い出、一緒に抱えて行きたいからさ。返事、すぐじゃなくていい。……考えておいてね」
「アンバーさん…」

 琥珀色の瞳がゆっくり揺れて、ぎこちない笑みを作る。ケイは、どう答えたらいいかわからないまま、出発の準備を終え、他のメンバーとともにクエストへと向かった…。

                 ◇◇◇

 奴との戦闘は、熾烈を極めた。レベル違いの強さに悪戦苦闘するハンター達。傷つこうとも、一歩も怯まずに攻撃を続ける。ケイも、微力ながらもサポートの笛を吹いたり、罠を仕掛けたりと奮闘する。やがて、敵の動きが鈍くなり、足を引きずりながら巣穴へと逃げ込んだ。それを確認したカイルが、周りを見渡して言った。

「…みんな、大丈夫か?」
「大丈夫よ、カイルこそ、大丈夫なの?」
「言ってくれるなぁ、アンバー。この俺を誰だと…」
「わーった、わーった! 回復される前に行くぞ。ケイ、罠を頼む」
「はいニャ、サンドレイクさん」

 四人は、力強く頷きあうと、巣穴へと向かった…。

                 ◇◇◇

 眠っている敵の腹の下に、ケイが落とし穴を設置し、アンバーが石ころを投げて起こして落とし、カイルとサンドレイクがとどめを刺した。
 こうして、長らく村人やハンターを苦しめた人食いモンスターは討ち果たされた。

(終わった…。ミヤビ、敵、とったよ…。もう、そっちに行ってもいいよね…。僕、頑張ったよ…)

 そぉっと、三人から離れるケイ。大きくため息を吐いて、キャンプに戻ろうとした時、急に足元が揺らめいた。

「…?………!」

 ケイは、急に空いた穴に抗う暇もなく、吸い込まれていった…。


  (第二章へ続く)
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