SSブログ

幽霊の頼み事… [物語(石田三成)]

※初めに、注意事項をお読みください。

※この物語は、すべて作者の妄想100%でできております。

※この物語は、公式の物語と一切関係ありません。

※グロシーンはないと思いますが、心配な方は閲覧をご遠慮ください。

※キャラの性格が、公式のイケメン戦国やあなたの妄想と違う場合があります。そういうのは受け付けないわ!という方は、このまま、回れ右をしてお帰りいただき、このブログのことを一切お忘れいただきますよう、お願いします。

以上のことがお守りいただける方のみ、この先にお進みください…。 
 
 三成が休養を命じられた次の夜のこと。ケイがうなされる声で目が覚めた。そっと、彼女を起こそうと伸ばした手の先に、別な手が伸びていることに気付く。

(……! 誰?)

 視線だけ、その手の先へとむける。と、憂いを含んだ表情でケイを見つめる「自分」がいた。

(……!!)

 慌てて、体を起こして相手を見ようとする、が、傷が痛んで起き上がれない。漏れた声に気が付いた相手が、一瞬驚いた顔をして、消えてしまった…。

(あ…、消えちゃった…)

 残念そうにため息を吐いて、ケイがうなされなくなったことを確認すると、そのまま眠りについた…。

                 ◇◇◇

 朝になって、ケイを見ると、普段と変わらない。二人で朝餉を取り終えると、秀吉が入ってきた。

「三成、調子はどうだ?」
「はい、だいぶ楽になりました。……あの、秀吉様」
「なんだ? 三成。改まって…」
「実は…」

 三成は、ケイが近くにいないことを確認してから、昨夜のことを話した。秀吉は、小さく唸ってから答えた。

「……もしかしたら、ミヤビが成仏できなくて、でてきてるのか?」
「分かりません…。ですが、何か言いたいような、そんな感じがしました…」
「そうか…。もし、お前の体調に負担がかからなきゃ、ミヤビと話をしてみてくれ」
「分かりました」

 三成が小さく頷いて答えると、秀吉は、優しく彼の頭を撫でて、出て行った…。

             ◇◇◇

 それから二日ほど、ケイがうなされる度に彼が現れ、何か言いたげに三成を見ては消える、を繰り返していた。三日目の夜、再び現れた彼に、思い切って声をかけた。

「…あの、ミヤビ、さん?」
『………三成、だっけ?…あのさ…』
「なんでしょうか…?」
『これ…、取り上げてくれないか? こいつから…』

 そういって、彼が示す先にあったのは、ケイの首に下がっている小さな小瓶。訝しげに見つめる三成に、ミヤビが言った。

『これ、こいつが自分で調合した毒薬なんだ。俺、こいつに生きていて欲しいから、こんなもの、持ってて欲しくなくて…。でも、左腕しかないから、俺が取り上げることができないんだ…。頼む…』
「分かりました」

 三成は、そっとケイの首にかかっていた小瓶を外す。ミヤビは、ほっとした表情で彼女を優しく撫でている。三成は、ミヤビが消えないことを確認してから、彼に問いかける。

「ミヤビさん、なぜ、ケイさんの前に出てあげないのですか?」
『ミヤビでいい。…俺にも、分からないんだ。ケイが起きてるときにも、近くにいる筈なんだけど、ケイが俺の姿を見ることも、俺がケイに触ることもできないんだ』
「そうでしたか…。その辺の謎が解けなければ、なんともなりませんね…」
『…三成、頼みがあるんだけど』
「なんでしょうか?」
『ケイのこと…頼む。こいつの、生きる理由になって欲しいんだ…』
「生きる理由…ですか?」
『あぁ…。俺が死んでから、こいつがどれくらい苦しんできたか、ずっと見てきた。後悔もしたけど、どうにもできなくて…。なんで、ここに飛ばされたのかも分からないけど、もし、こいつが生きる理由がここにあるんなら、助けてやってほしい…』
「そんな…。ケイさんは、私にとって大切な恩人です。言われなくても、私は、彼女と共に生きていきたいと望んでます。安心してください」

 三成が力強く答えると、ミヤビは安心したように微笑み、彼の額に頭を寄せる。

『ありがとな。なんか、変な感じだけど、これからもケイのこと、頼む…』
「はい…」

 そういって、ミヤビはすぅーっと消えていった。三成は、ケイから取り上げた毒薬を小瓶から紙にとって包み、ビンはケイの首にかけなおして、眠りについた…。

             ◇◇◇

 翌朝、ケイは小瓶の中身が空になっていることに気付いた。

(あれ? 何で? 何で、中身が無いの? あんなの、誰かが間違って飲んだら、大変なことになるのに…!!)

 慌てているケイに、三成が少し厳しい顔をして、話しかける。

「ケイさん、ちょっと、いいですか?」
「なんですニャ? 三成さん」
「その、小瓶に入っていた毒薬ですが…。昨夜、私が取りました」
「え? 何で、知ってるニャ? 話したこと、ないのに…」
「ミヤビが、教えてくれました。貴女に、生きていて欲しい、とも、言ってました」
「ミヤビが…?」
「…ケイさん、私では、駄目ですか? 貴女の、生きる理由になれませんか?」
「え…?」
「ミヤビの代わりに、なんて、おこがましいことは言えません。ですが、貴女がここで、生きていく理由には、なりたいと思っています…。どうか、二度と、自分の命を絶とうなどと、考えないでください…」
「…三成さん、三成さんは三成さん、ですニャ。ミヤビにはなれませんニャ。それに、僕はもう、死のうなんて考えてないですニャ。ずっと、ずっと、ここにいたいですニャ。一緒に、いてもいいですニャ?」
「…もちろんです! こちらこそ、よろしくお願いします…。あ、これは、家康様に頼んで、適切に処分していただきますね」
「はいですニャ。よろしくお願いしますニャ」

 嬉しそうに微笑んで、三成に抱き着くケイ。三成は、彼女を優しく抱きしめて、共に生きていくことを誓うのであった…。

                      (終わり)

                 ◇◇◇

 ケイの日記

 今日、三成さんに毒薬を取られた。もう、死のうと思っていたわけじゃないけど、捨てる機会がなかった…。
 ミヤビも、心配していたみたい。反省。

 ……これからは、僕は、三成さんを守って生きていくんだ。いつか、ミヤビと同じ、『家族』になれるって、信じてるから…。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ゲーム

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。