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三成くんが好きなもの [物語(石田三成)]

注意

※初めに、「注意事項」を読んでください。

※この物語は、ノリと勢いと妄想で書いてありますので、公式やあなたの妄想の中のキャラと、著しく異なっている場合があります。それが認められない方は、回れ右してお帰りください。

※すみません。また、光秀さんの出番がなかった…。

※以上のことがお守りいただける方のみ、先にお進みください。 
 
 ある、寒い朝のことでした。

 ケイは、いつものように目が覚めると、布団にいるはずの三成の姿を探した。どうやら、昨夜はここで寝ていないようだ。嫌な予感がしながらも、彼を最後に見た部屋へ急ぐ。

 部屋に入ると、文机に突っ伏して眠っている三成を見つけ、叩き起こした。

「三成!! 起きるニャ!! あれほど布団で寝なさいって言ったにょに!」
「…わっ! …ケイ…、あ、寝ていたのか…。起こしてくれて…ありがとう…」
「…? 三成、風邪ひいたニャ? 声、おかしいニャ」
「え? …あ、あぁ、大丈夫。大したことないよ」
「大したことがにゃくても、今日は休んだ方がいいニャ。風邪は、万病のもと、ニャ」
「どうしても、今日中に済まさないとならない仕事があるんだ。それが終わったら、ちゃんと休むから」
「…じゃあ、僕も一緒に行くニャ。いいニャ? 無理しないって約束するニャ」
「わかった、約束するよ」

 心配そうに見つめるケイの頭を、優しく撫でながら宥めるように言うと、三成は支度を整えて彼女を伴い、安土城へと出かけて行った…。

                ◇◇◇

 城に着くと、秀吉が廊下を歩いてきた。三成は、軽く頭を下げて挨拶をする。

「おはようございます、秀吉様」
「おはよニャ! 秀吉!」
「おはよう、二人とも…て、三成、どうしたんだ? その声。風邪か?」
「…大したことはありません。やり残したことがあるので、それが終わったら休みます」
「そうか? 無理するなよ?」
「はい、では、失礼します…」

 軽く頭を下げて立ち去る三成を見つめる二人。腕を組み、顎に手をやり、同じ格好で口を開く。

「…ケイ、戌の刻まで持つと思うか?」
「…無理ニャ。申の下の刻か、酉の刻が限界だと思うニャ」
「そうか…。悪いが、いつものやつ、作ってくれるか?」
「任せてニャ。秀吉も、頼むニャ」
「おう。じゃ、俺は仕事に戻るな。無理するなよ」
「分かったニャ、またニェ」

 小さくお互いの手を合わせ、二人はそれぞれの方向に向かっていった…。

                ◇◇◇

 その日の申の下の刻、酉の刻近くに差し掛かった。三成は、たまっていた書簡を片付けて、自室に向かって歩いていた。が、不意に立ち止まり、壁に寄りかかる。大きく息をついてから、再び歩き出す、が、めまいを起こして倒れ、たまたま通りがかった政宗の胸元におさまった。

「…あ、政宗様…」
「大丈夫か? 三成。……お前、すごい熱じゃないか! 何やってんだ」
「大丈夫…です…。すみません、…今…立ちます…から…」
「立つからじゃねぇだろ! 全く…?」
「あ、政宗。わりぃ、そのまま、三成を部屋まで連れて行ってくれ」

 二人のところに、いつの間にか駆け寄っていた秀吉。政宗は、ぐったりしている三成を横抱きにして、彼の部屋に連れて行った。

                 ◇◇◇

 部屋に着くと、すでに布団が敷いてあって、ケイが桶に水を入れ、ちょこんと座っていた。秀吉が、さくさくと三成を着替えさせ、布団に寝かせる。あまりの手際と用意の良さに、政宗が目を丸くして言った。

「随分、手回しがいいんだな。まるで、分かってたみたいだが…」
「あぁ、今朝見た時、ケイと予想してたからな」
「そうニャ。予想通りだったニャ」
「それじゃ、政宗。俺は家康に薬を貰いに行くから、ちょっと見ててくれ。三成、ちゃんと休めよ」
「…はい…。すみません…秀吉様」

 部屋を出ていく秀吉に、掠れた声で返事をする三成。水で絞った手ぬぐいを彼の額にのせながら、政宗が口を開いた。

「三成、何か食いたいもん、あるか?」
「いえ…、今は食欲が無くて………。あ、ケイ、頼みがあるんだけど…」
「にゃに?」
「あの…、ぷりんを作ってくれる? あれなら、…食べられそうだから…」
「そういうと思ったニャ。もう、作ってあるニャよ」
「……へぇ、三成。俺に喧嘩売ってるのか?」
「あ、いえ!  政宗様…。決して、そういう意味では…」
「わかってるって。ケイが来てからというもの、お前が熱を出した時にねだるのは、いつもそれだからな」

 本気で怯える三成に笑って答える政宗。同時に障子が開いて、茶猫が慌てた様子で飛び込んできた。

「三成くん! 大丈夫?!」
「…茶猫、もう少し静かにしろよ。病人がいるんだぞ」
「あ、政宗…、だって、秀吉さんに三成くんが倒れたって聞いて…居ても立っても居られなくて…」
「茶猫様、ご心配おかけして、申し訳ありません…。ちょっと、熱が出ただけです…。大したことありませんので、安心してください…」
「どこがだ、三成。意識失ってぶっ倒れるくらいだっていうのに…」
「嘘! 本当に、大丈夫なの?!」
「もう、うるさいニャね。茶猫、プリン持ってくるから、一緒に来るニャ」

 戸惑う茶猫を引っ張って、ケイは部屋を後にした…。

                 ◇◇◇

 廊下をケイに引っ張られながら進む茶猫。慌てながらも、頭にわいた疑問を口にする。

「ケ、ケイ、プリン、て、あのプリン?」
「あのって、にゃに? プリンはプリンにぇしょ?」
「あ、ごめん。だって、プリンてこの時代にないから…」
「にゃいよ。僕が来るまで、デザートっていう類のもにょ、にゃかったもの」
「あ、そうなんだ…。でも、うれしい…。まさか、戦国時代でプリン食べれるなんて…」
「佐助も、同じこと言ってたニャ。…あ、信長」

 台所に来ると、金平糖をつまみ食いに来ていた信長とばったり会った。彼は、壺を棚に戻して、何食わぬ顔で二人に話しかけた。

「どうした? こんな時間に…」
「こんばんわ、信長様」
「ばんわニャ、信長。プリンを取りに来たニャ。あ、信長の分もあるニャよ。…この後、光秀と会議にぇしょ?」
「よく知っているな。流石、織田軍最強のくノ一だけある」
「褒めても、にゃにも出無いニャよ。光秀が昼間言っていたニャ。はい、二人分ニャ」
「すまんな。しかし、これがあるということは、三成が熱を出したのか?」
「そうニャ。朝、風邪気味だったのに休もうとしなかったニャ。で、熱が上がって倒れたニャ」
「成程な…。奴に言っておけ。倒れるくらいなら休め、とな」
「伝えておくニャ」

 ケイがプリンを手渡すと、信長は優しく微笑んで、台所を後にした。
 茶猫は、残りのプリンをお盆にのせる。ふと、数が多いことに気付く。

「ケイ、一個多いけど…」
「んー? 問題にゃいニャ。戻る頃には、増えてるかニャ」
「増えてるって…?」
「行ってみれば、分かるニャ。ほら、さっさと戻るニャ」

 茶猫からお盆を引ったくり、頭の上に掲げて歩いて行くケイ。二人は少し速足で、長い廊下を再び戻っていった…。

                ◇◇◇

 部屋に着くと、障子が開いて秀吉が顔を出し、お盆を受け取った。その奥で、家康が三成に説教をしている。

「……全く、倒れるくらいなら休めよ。いい迷惑だ」
「すみません…家康様」
「ケイからも忠告されたんだろう? あの子、勘がいいから。用も無く城に来ないあの子が、珍しくお前についてきてたから、変だと思ったんだ」
「…はい…」
「とにかく、ぷりん食べて薬飲んだら、このまま寝ていろ。無駄に動き回るな。いいな」
「……はい…」
「…で、説教は終わったか? 家康」
「あ、秀吉さん。終わりましたよ。…ケイ、お疲れ様」

 秀吉に促され、振り返ってケイの頭を撫でる家康。嬉しそうに喉を鳴らしている彼女に目を細める。ふと、茶猫が人数を数えて小さな声を上げた。

「ケイの言う通りだ…。一人増えてる」
「秀吉が家康のところに行ったかニャ、必ずお説教に来るはず、って思っただけニャ」
「…恒例行事だしな。誰かが倒れれば、そこにみんな集まるっていうのは」
「政宗の言う通りにゃ。みんな、なんだかんだ言って仲良しだかニャ」
「違いない。おっと、三成。起きられるか?」

 政宗に支えられ、ゆっくり上体を起こす三成。ケイがその手にプリンを持たせると、ゆっくり食べ始める。

「…うん、美味しい…。ありがとう、ケイ」
「どういたしましてニャ。もう、無理しにゃいでね」
「うん。約束する…」

 ホントかな~と、やや疑いの眼差しを返すケイに、いつもと変わらぬ微笑みを返す三成。

 こうして、騒がしくも平和な一日が過ぎていくのであった…。


 ケイの日記

 今日、三成が風邪をひいた。
 昨日、あれほど言ったにもかかわらず、寒い部屋で布団もかぶらずに寝るから!
 いつも通りにプリン作ってあげた。喜んでくれた。
 でも、ほんとにみんな、仲がいいんだなぁ…。流石、僕の家族♬

                   (終わり)
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