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魔王と晩酌を… [物語(織田信長)]

※初めに、注意事項をお読みください。

※この物語は、すべて作者の妄想100%でできております。

※この物語は、公式の物語と一切関係ありません。

※キャラの性格が、公式のイケメン戦国やあなたの妄想と違う場合があります。そういうのは受け付けないわ!という方は、このまま、回れ右をしてお帰りいただき、このブログのことを一切お忘れいただきますよう、お願いします。

以上のことがお守りいただける方のみ、この先にお進みください…。 
 
 三成が公務に復帰し、ケイが斥候の仕事を始めたある日、信長が彼を呼び出した。

「三成、ケイはいるか?」
「はい、今日は、光秀様のところで、先日、傘下に入った大名の様子を見に行っています。何か、ありましたか?」
「いや、…いないのなら、よい。手間をかけたな」
「い、いえ…。では、失礼します…」

 少し不機嫌そうな信長を見て、緊張気味に下がる三成だった…。

                 ◇◇◇

 それから数日後、三成は再び、信長に呼び出された。

「お呼びでしょうか? 信長様」
「三成、今日はいるか?」
「は?」
「ケイだ。今日はいるのか?」
「あ…、申し訳ありません。本日は、政宗様の依頼で、奥州の方に使いに行っています…」
「そうか…。分かった。下がってよい」
「はい、失礼いたします…」

 前回よりも不機嫌な信長に、さらに緊張しながら下がる三成だった…。

                 ◇◇◇

 それから数日後、廊下で顔を合わせた三成と秀吉に、信長が言った。

「信長様、どうかしましたか?」
「秀吉に三成、今日はいるのか? ケイの奴は」
「あ、はい。先程連絡があり、まもなく戻ると…」
「そうか…。なら、戌の刻になったら、俺の部屋に来るように言っておけ。いいな」
「は! かしこまりました!」

 二人が頭を下げると、信長は悠然と去って行った。彼の姿が見えなくなると、顔を合わせて話し始める。

「…信長様、かなりお怒りのようでしたが…」
「ケイの奴、何をやったんだ?」
「この数日、ケイさんに何を聞きたいのかわかりませんが、頻りに所在を聞かれました」
「……念のため、俺も一緒に行くか…。ケイだけじゃ、心許ないからな」

 ふう、とため息を吐いて秀吉が言うと、三成も小さく頷いて答えた。

                 ◇◇◇

 刻限になると、ケイは秀吉に連れられて、信長のいる天守に向かった。三成から、信長を怒らせることをしたのかと言われて、落ち込んでいる彼女を、優しく宥めつつ歩く。

「…じゃあ、心当たりはないんだな?」
「ありませんニャ。信長さんとは、斥候の仕事を始めたあたりから、なかなか、会えなかったですニャ…。僕、何しちゃったニャ…」
「まぁ、俺も一緒に謝るから、な」
「はいですニャ…。ご迷惑おかけして、ごめんですニャ…」

 そうこうしているうちに、部屋に辿り着く。秀吉が、敬意を払って襖を開けた。

「信長様、ケイを連れてまいりました」
「…秀吉、貴様を呼んだ覚えはないが?」
「は! ケイが何か、信長様の気に触ることをしたのであれば、保護者である俺の債務ゆえ、共に参りました」
「なにもしてはおらん。強いて言うなら、貴様らがこき使っているから、ケイとゆっくり話ができず、苛立っていただけだ」
「あ…そうだったのですか…。大変失礼しました!」
「まあいい。来たのなら、貴様も付き合え。…ケイ、前に住んでいた世界の話、聞かせてくれぬか?」

 信長は、苦い顔で秀吉を睨んだ後、優しく微笑んでケイを見る。彼女は小さく頷くと、胡坐をかいた秀吉の膝に座って、話し始めた。

「僕が前にいた世界は、ここと違って、僕達みたいなモンスターって呼ばれる動物と、人間と、竜人ていう種族がいましたニャ。みんな、仲良く暮らしていましたニャ」
「ほう…」
「モンスターの中には、人間や竜人を襲ったり、体の一部とかが交易品になったりするのがいましたニャ。そういう奴は、『ギルド』っていうところに依頼して、『ハンター』っていう職業の人がそれを受けて、討伐したり、捕獲して生態を調べたりしていましたニャ…」

 ポーチの中から、ミヤビが書き綴ったモンスター図鑑や、訪れた村での思い出の写真が詰まったアルバムを開きながら、二人に説明して行くケイ。ミヤビとの出会いや、色々な村の色々な習慣や祭りなどのこと、いろんな狩猟エリアの話を身振り手振りを添えて話し続ける。やがて、自分がしていた仕事の話になった。

「……僕達は、最初の頃は、ハンターさんのために食事を作ったり、おうちを綺麗にしたりしていましたニャ」
「食事? …ほう、どんなものを作っていたんだ?」
「そうですニャね…。ミヤビが好きだったのは、ハンバーグとか、プリンとかですニャ」
「はんばー…ぐ? ぷりん?」
「ハンバーグは、お肉を挽いて細かくしたものに、みじん切りにした野菜やつなぎを入れてよくこねて、形を整えて焼いたものですニャ」
「…ふうん、こっちで言う、つくねみたいなもんか? 鶏肉を細かく切ってこねて、串に刺して焼いたもの、なんだが…」
「そういう料理があるんですニャ? 秀吉さん。一度、食べてみたいですニャ…」
「後で、政宗に作ってもらえ。あいつの料理は、絶品だからな」
「……で、ケイ。ぷりん、とは、どんな料理だ?」
「プリンは、卵とミルクと砂糖を混ぜて、蒸して、カラメル、あ、砂糖を焦がして作るソースですニャ。それをかけて食べる、甘いお菓子ですニャ。ミヤビは、大きな依頼を成功させたときに、いっつもリクエストしてきましたニャ」
「ほう、菓子なのか。一度、食してみたいものだな」
「ここでも、材料が揃いそうなので、時間が取れたら作りますニャ。待っててくださいニャ」
「あぁ、頼んだぞ」

 優しく微笑む信長に、嬉しそうに頷くケイ。それからケイは、いろいろとしばらく話していたが、仕事の疲れからか、秀吉の膝の上で舟をこぎ始め、眠ってしまった。

「…おい、ケイ。大丈夫か?」
「秀吉、かまわん。ここで寝かせてやれ」
「え…? それは…」
「俺がよいと言っている。寝かせてやれ」
「は! かしこまりました」

 秀吉は、軽く頭を下げ、差し出された座布団の上にケイを寝かせて、そっと部屋を後にした。

                 ◇◇◇

 ケイが目覚めると、部屋にはすでに誰もいない。慌てて飛び出して廊下を歩いていると、光秀にあった。

「あ、おはようございますニャ、光秀さん」
「お、ケイか、おはよう。どうした? そんなに慌てて」
「昨夜、信長さんに呼ばれて行って、そのまま寝てしまいましたニャ。なのに、寝坊してちゃんと、ごめんなさいできませんでしたニャ…」
「信長様なら、もう、公務に入っているよ。何も言っていなかったから、怒ってはいないようだ。安心していい」
「そうですかニャ…、よかったですニャ。あ、政宗さんは、どこにいますニャ?」
「政宗か? 台所にいたな。…あ、ケイ、あいつには気を付けろよ」
「? なんでですニャ?」
「あいつは、人間以外はみんな、食材に見えるんだ。台所にいる時に不用意に近づくと、その自慢の尻尾が無くなっているかもしれないぞ…」
「そ…そうなんですニャ…? 気を付けますニャ…」

 小さく震えながら、頭を下げるケイ。その頭を軽く撫でて、光秀は去って行った。

 のどかな一日は、こうして過ぎて行くのであった…。

 (終わり)

                  ◇◇◇

 ケイの日記

 昨日、信長さんに呼ばれて、前の世界の話をした。信長さん達、熱心に聞いてくれた。
 話している途中で眠ってしまった。朝起きたら、秀吉さんも信長さんもいなくて、ごめんなさいできなかった。

 光秀さんから、政宗さんがとても怖い人だと聞いた。つくねは食べたいけど、どうしよう…。


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